仙台の杜から始まった
しめ縄、綱引き、縄文。大地の力と呪術的な匂い
この表現は建築家ユニット、ワークショップが手がけたキリンビアマーケットの一店、仙台の"MORI"のアートディレクションをしたのがきっかけになっている。
若葉通りから入った所の商業ビル地下3階分ほどの巨大な吹き抜け空間に、20mほどの長大で分厚い木の天板がワイヤで天井から吊られて浮いている。部屋の端には中に何もない5,6m立方のヒバ角材で出来たキューブ空間。建築家は言葉にはしないが、これは多分に神道的と感じた。細長く高い空間は神殿のようであり、巨大テーブルの上の食物はキューブに「降りるもの」に対する捧げものだ。キューブの中でライブも出来るそうだが、今度はこれが神楽殿となる。
東北、杜(東北の古語では山のことをモリという)地下大空間、ということで、すぐに自分の世界に引き寄せてしまった。縄文の東北・原始信仰・神事としての綱引き→綱をメインに考える。綱は陰陽、エレメントは五行だ。木火土金水…いや仏教でいう五大、地水火風空かな…と妄想は走り、商業施設ではその片鱗しかもちろん出来ないので、そんな考えを深めてインスタレーションをしてみよう!とその時決意。そして東京に帰ってみると、なんと、早速そんな話が来ていた。
「町田の画廊で何かやりませんか?」
死と生の坩堝より
タイトルのバックにある「黄泉の地中」ここには抜け殻とともにある死の荒廃の中にうねり、とぐろを巻く生の息吹が蠢き始めている。
ここよりはるか離れた所でジャングルを造り 花を咲かせ、実をつけた。
ヒトの智の都の上で、おおきな樹はダンスを踊った。
左:果実は落ち、熟成とともに今必要な形とは何か、を考えている。右:3つの果実から出た芽はそれぞれの性格を反映した刃となった。
都市としての水光器
丸い水盤の四方向は正確でなければならない。
中央の水光器の下面に光源があり、その脇には水紋をつくる時計仕掛けの櫂、そこから発生する水面の揺れに反射した光は揺らめきながら周りに投影する。また水光器の上面には北斗七星の配置の穴があり、内部で焚かれたお香の煙と香りはその穴から漂い、同じ穴から光はビームで上空に伸び、その煙を際立たせる。この写真の水にはドライアイスが入れられ、水面を這うように広がる白煙にも光が揺らめいている。
オープニングにはベリーダンスをやっている海老原さんとバリダンスをやっている若い二人が即興でこの森の下、泉のほとりで踊って下さって、観客の喝采を浴びた。「この場、何とも気持ちがいい!」と感想を述べて下さったが、もし自然発生的に歌舞が生まれたのだとしたら、この魔術実験は成功したのではないかと(笑)、思うのである。